
「紅茶にはリラックス効果がある」
おそらく、大半の方がそんな話をそこそこの頻度で耳にしてきたのではないかと思います。
ただ、その「リラックス」の根拠についてご存知の方、調べようとしたことがある方はそこまで多くないですよね。
実際、友人に「なんで紅茶を飲むとリラックスするか知ってる?」と質問したところ、「なんかいい匂いがするから」という答えが返ってきました。
もちろん、紅茶を楽しく飲んでいただく分にはそれくらいライトな認識で何の問題もありません。
でも、実は「紅茶のリラックス効果」には根拠があります。結論を申し上げると、紅茶の主成分である「テアニン」の作用です。
このテアニンに関する理解を深められれば、紅茶習慣がより充実するのでは?というのが今回のコラムのテーマとなっています。
特に「デカフェ」 や「快眠」のために紅茶を取り入れている方には読んでいただきたい内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
紅茶の主成分(タンニン・カフェインなど)の種類と効果

まずは紅茶がどのような成分で構成されているのか、それぞれの成分にどのような効果・作用があるのかをまとめてみました。
ポリフェノール(紅茶ポリフェノール)
ポリフェノールは植物由来の成分で、「苦味や渋味の構成」「色素への働きかけ」が主な役割です。
「ポリフェノール=赤ワイン」というイメージが強いと思いますが、実は紅茶にもポリフェノールは含まれています。
ただ、自然界には8,000種類以上のポリフェノールが存在すると言われており、“ブドウから作られる赤ワイン”と“チャノキから作られる紅茶”とでは、その種類も含有量も異なります。
紅茶に含まれる代表的なポリフェノールを3つピックアップしましたので、順番に確認していきましょう。
①タンニン
タンニンは紅茶の渋味成分。
紅茶を飲んだときに「お茶ならではのスッキリとした部分」が感じられるのは、このタンニンの働きによるものです。
タンニンには主に次のような作用があります。
・抗酸化作用
・抗菌作用
・抗がん作用
一方、タンニンには食品由来の鉄分の吸収を抑制する作用もあるため注意が必要です。
意識して鉄分を摂っている方は、食後30分以上は間隔をあけてから紅茶を飲むようにしましょう。
②カテキン
カテキンもタンニンと同じように、紅茶の渋味や苦味の成分です。
緑茶の主成分というイメージもあると思いますが、同じチャノキを原料とする紅茶にもカテキンは含まれています。
ちなみに、カテキンは“タンニンのなかの1種”なため、まとめて語られることも多いです。
ただ、以下のように作用の面で若干の違いがあるため、今回は区別して紹介しました。
・抗酸化作用
・抗菌作用
・抗ウイルス作用
・抗がん作用
・コレステロール値の上昇抑制
・血糖値の上昇抑制
・血圧の上昇抑制
・脂肪分の吸収抑制(脂肪分解作用)
③テアフラビン
テアフラビンは、赤みがかった紅茶ならではの色味を構成する成分です。
前述のとおり緑茶も紅茶も原料は同じチャノキですが、緑茶とは違い紅茶には「発酵」という製造工程があります(チャノキの葉を完全発酵させたもの=紅茶)。
この発酵過程でカテキンが酸化し、2つのカテキンが結合してできるのがテアフラビンです。
そのため、作用の種類こそカテキンと同様ですが、その強さはカテキン以上とも言われています。
・抗酸化作用(老化軽減)
・抗菌作用
・抗ウイルス作用
・抗がん作用
・コレステロール値の上昇抑制(動脈硬化予防)
・血糖値の上昇抑制(糖尿病予防)
・血圧の上昇抑制
・脂肪分の吸収抑制(脂肪分解作用)
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緑茶・紅茶・烏龍茶などの相違点について知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
カフェイン
カフェインはコーヒー(カカオ豆)に多く含まれる成分です。
カップ1杯あたりの含有量でいうとコーヒーの半分程度ではありますが、カフェインは紅茶にも含まれています。
特にカフェインの含有量が多いとされているのは、低地栽培の茶葉(インドのアッサム、スリランカのルフナなど)です。
ご存知の方が大半だとは思いますが、カフェインには主に次のような作用があります。
・覚醒作用(中枢神経への刺激)
・疲労軽減
・利尿作用(むくみ予防)
・頭痛の軽減
・脂肪燃焼作用(血行促進)
ただし、カフェインの過剰摂取は以下のような症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
・神経過敏
・苛立ち
・動悸
・手足の震え
・不眠
・下痢
・吐き気
カフェインの適切な摂取量は、紅茶(1杯150ml〜200ml換算)なら1日3〜4杯が上限です。
ただし、カフェインはコーヒーやお茶だけでなく栄養ドリンク・エナジードリンク・チョコレートなどにも含まれています。
それを踏まえたうえで、摂取する量とタイミングには注意しましょう。
テアニン
テアニンは紅茶の甘味・旨味を構成する成分です。
前置きが長くなりましたが、このテアニンこそが今回の本題。
テアニンにどんな作用があるのかを次章で解説していきます。
※
紅茶には他にもフッ素や、微量ながらビタミンB1・B2など他の成分も含まれていますが、今回は割愛します。
紅茶に含まれる「テアニン」はリラックス効果の源

前章で軽く触れましたが、テアニンはお茶に含まれる旨味成分です。
紅茶だけでなく緑茶や烏龍茶にも含まれているアミノ酸の1種ではありますが、逆を言えばお茶以外でテアニンを含む食品はほぼ見つかっていません。
つまり、お茶を飲んだとき特有の「ほっと安らぐ感覚」はテアニンの働きによるものということです。
それでは、具体的なテアニンの作用を見ていきましょう。
リラックス効果
まず紹介するテアニンの作用は、もちろんリラックス効果です。
もう少し具体的に説明すると、テアニンには脳内で発生する「α波(アルファ波)」を増幅させる働きがあります。
脳内でα波が優勢になることによって心身にもたらされる作用は主に以下の4つです。
・ストレス軽減
・緊張状態の緩和
・興奮状態の緩和
・自律神経の安定
こういった神経を鎮静・安定させる作用がテアニンの最大の特徴です。
集中力の増加(テアニン×カフェイン)
ここまでの内容を踏まえると、紅茶は「鎮静作用のあるテアニン」と「覚醒作用のあるカフェイン」の両方を兼ね備えた飲み物であると言えます。
鎮静と覚醒。一見すれば相反している2つの作用ですが、これが打ち消し合うことなく別の作用として現れるのが紅茶の興味深いところです。
結論を申し上げますと、紅茶に含まれるテアニンとカフェインは相互作用によって「集中力アップ」という効果をもたらしてくれます。
そういう意味では、“昼食後のティータイム”も理にかなった習慣であると言えますね。
血行促進(テアニン×カテキン・テアフラビン)
前章で紹介したとおり、カテキンやテアフラビンには血圧の上昇を抑制する作用があります。
ただ、実はテアニンも血管を拡張し、血行を促進する効果があることが確認されている成分です。
そのため、相互作用により血圧の上昇抑制や冷え性の緩和、睡眠の質を改善する効果もあると言われています。
紅茶のリラックス効果を高めるためのポイント

前章ではテアニンがリラックス効果をもたらしてくれる、紅茶をはじめとした“お茶”に特有の成分であることを解説しました。
次はそんなテアニンの力を最大化させ、充分な安らぎを得られる紅茶の飲み方やポイントを紹介したいと思います。
目的に合ったタイミングで紅茶を飲む
紅茶を飲むうえで頭に入れておかなければいけないのは、カフェインの覚醒作用です。
「仕事や勉強をもうひと頑張りしたい」「起床後、1日の活力になるような1杯を」といった目的であれば、すぐに紅茶を飲んでしまって構いません。
ただし「快眠を得たい」という理由で紅茶を飲む場合は、そのタイミングに注意してください。
なぜなら、就寝直前に紅茶を飲むとカフェインの覚醒作用が眠りの妨げになってしまうからです。
カフェインの覚醒作用は摂取後2〜3時間は持続すると言われているため、「眠りにつく時間から逆算して遅くとも2時間前」には紅茶を飲み終えるようにしましょう。
飲むタイミングでカフェインの作用さえコントロールできれば、紅茶のリラックス効果を以下のような「睡眠の質の向上」というカタチで活用できます。
・眠りやすくなる
・眠りが深くなる
・寝覚めがよくなる
デカフェ(カフェインレス)の紅茶を選ぶ
とは言え紅茶を「嗜好品」として捉えるなら、毎回のように飲むタイミングを見計らうのも億劫ですよね。
「飲みたいと思った瞬間に飲みたい」と考える方もたくさんいらっしゃるハズです。
そういう場合はデカフェの紅茶をぜひ取り入れてみてください。
残念ながらジョージスチュアートでは現状、デカフェの紅茶は取り扱っていませんが、現在はさまざまなデカフェ商品があります。
当然、デカフェの紅茶はカフェインへのケアが不要なため、必要なタイミングでテアニンのリラックス効果を得ることが可能です。
また、「就寝前の1杯」という意味では、少し視野を広げてカモミールなどの“快眠効果のあるハーブティー”を選ぶのもおすすめです。
テアニンの含有量が多い紅茶・茶葉を選ぶ
テアニンはチャノキを原料とするお茶全般に含まれる成分ですが、その含有量はお茶の種類ごとに異なります。
特にテアニンを多く含んでいるのは、玉露や抹茶です。
ただ、紅茶も茶葉の種類によってテアニンの含有量は異なるため、テアニンを多く含む茶葉を選ぶことで紅茶を飲んだときのリラックス効果を高めることができます。
テアニンを多く含む紅茶の代表格は、春摘みのダージリン(ファーストフラッシュ)。緑茶を思わせる青々とした清涼感が特徴的なスリランカのヌワラエリヤも、同様にテアニンを多く含んでいます。
なお、ダージリンやヌワラエリヤはカフェイン含有量も比較的少ないため、デカフェの観点でもおすすめです。
紅茶のカフェインはアッサム(インド)やルフナ(スリランカ)など、低地で栽培されるどっしりとした味わいが特徴の茶葉に多く含まれています。それに比べると、高地栽培のダージリンやヌワラエリヤのカフェイン含有量は少なめです。
また、ヌワラエリヤを主体にベルガモットの香りを加えた、ジョージスチュアートの「ヴィンテージアールグレイ」も充分なリラックス効果が期待できます。
※
産地ごとに異なる特徴をもつスリランカ紅茶について知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。
牛乳たっぷりのミルクティーを飲む
「紅茶でリラックスしたいけど、カフェインはあまり摂りたくない」という方には、ミルクティーもおすすめです。
①ストレートティー200ml
②紅茶100ml/牛乳100mlのミルクティー
単純比較するなら、紅茶の分量が少ないミルクティーのほうがカフェインの摂取量を抑えられます。
また、牛乳には次のような作用もありますので、就寝前のミルクティーも効果的です。
・睡眠の質の向上
・鎮静作用
・胃腸の粘膜保護
以下のコラムでは基本的な紅茶のいれ方を解説しています。ミルクティーの作り方も紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
水出し紅茶を楽しむ※注意点あり
水出しは、“デカフェ”と“リラックス効果”の両面で効果的な紅茶の飲み方です。
水だし紅茶の場合、カフェインや紅茶ポリフェノール(タンニンやカテキンなど)の抽出量は「熱湯抽出した場合の半分以下」に抑えられます。
一方、テアニンは低温でも抽出可能。むしろ水出しをすることにより、テアニンの「旨み成分」と「リラックス成分」の両方をじっくりと抽出することができます。
水出し紅茶がまろやかで飲みやすく感じられるのは、水出しによって「渋味・苦味の抽出抑制」と「充分な旨み成分の抽出」がおこなわれるからです。
水出し紅茶は「食中毒」に要注意
ただし、水出し紅茶には雑菌の増加リスクがあるため注意が必要です。
紅茶の熱湯抽出には、紅茶の「旨み・渋味・香り」をバランスよく引き出すだけでなく、実は茶葉を殺菌する効果もあります。
一方、低温の水を使用する場合は抽出過程で茶葉が殺菌されません。
もちろん水出し紅茶そのものが安全性に欠けるという話ではありませんが、リラックスするための紅茶で体調を崩すのは本末転倒です。
次のように衛生管理を徹底しましょう。
①原則的に冷蔵庫内で抽出(水出し)をおこなう
②水出し紅茶のボトル(容器)を常温放置しない
③抽出完了後、24時間以内に飲み切る
④抽出完了後の茶葉・ボトル(容器)を使い回さない
抽出がラクなのは水出しの大きなメリットですが、空になったボトル(容器)へ注ぎ足すように水出し紅茶を作り続けるのは危険です。
飲み切ったあとは、かならずボトル(容器)を洗浄してください。
耐熱温度が100℃以上のボトル(容器)を使用している場合は、毎回の熱湯消毒を推奨します。
ここで説明した水出し紅茶の注意点は、「多湿環境に長時間放置すると雑菌が繁殖・増殖する」という食品全般に共通の話です。「水出し専用の紅茶(茶葉)」にも同様のリスクはあるため注意してください。
以上、紅茶に含まれる成分「テアニン」と、テアニンの「リラックス効果」を生かす紅茶の楽しみ方を紹介しました。
このコラムを通じて「紅茶の魅力」に気づいてくれる方が増えてくれたらうれしいです。
ただ、今回はあえて掘り下げなかった紅茶の成分がいくつもあります。つまり、紅茶の底力はまだまだこんなものではありません。
そのあたりも踏まえた次回コラムの準備も進めていますので、ぜひご期待ください。





