大手飲料メーカーの紅茶を徹底調査!スリランカの紅茶は日本での流通量が多いって本当?

日本でもっとも流通している紅茶としてよく名前が挙がるのは、スリランカの紅茶(茶葉)です。

しかし、お茶大国の中国やダージリン・アッサムで有名なインド、紅茶生産国として急成長を遂げたケニアなど、スリランカと同等かそれ以上に紅茶を生産している国はいくつもあります。

また、実は日本でも静岡県や九州全域をはじめ各地で紅茶が生産されています。

この状況で、本当にスリランカの紅茶が広く日本で流通しているのでしょうか?

そんな疑問を解消するため、今回は大手飲料メーカーが販売している「午後の紅茶」「紅茶花伝」「クラフトボス」「リプトン」の4ブランド・全49商品を対象に、各商品で使用されている紅茶(茶葉)の原産国や原産地を調査しました。

もちろん、調査の主目的はスリランカ茶葉の使用状況の把握です。

しかし、「午後の紅茶は、商品ごとに使用する茶葉の種類・分量などを細かく変えている」「創業者がスリランカに大規模な茶園を開拓したリプトンは、現在スリランカ茶葉をメインで使用していない」など、調べてみて初めてわかったこともありました。

「普段はペットボトルや缶の紅茶しか飲まない」という人にとっても充分に楽しんでいただける内容となっていますので、ぜひ読んでみてください。

※本コラムに登場する商品データは、調査をおこなった2024年6月時点のものとなります。

「午後の紅茶(キリン)」に使われている紅茶・茶葉の種類

出典:キリン『午後の紅茶』

まずは日本の紅茶飲料市場で圧倒的な存在感を放つキリン「午後の紅茶」が、どのような紅茶(茶葉)を使っているのか見ていきましょう。

商品画像商品名紅茶の原産国
(茶葉)
午後の紅茶
ストレートティー
スリランカ
(ディンブラ20%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
レモンティー
スリランカ
(ヌワラエリヤ15%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
ミルクティー
スリランカ
(キャンディ20%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
おいしい無糖
香るレモン
インド
(ダージリン20%)
スリランカ
ケニア
午後の紅茶
おいしい無糖
インド
(ダージリン20%)
スリランカ
ケニア
午後の紅茶
おいしい無糖
ミルクティー
インドネシア
インド
(ダージリン10%)
ケニア
スリランカ
(ウヴァ10%)
午後の紅茶
アップルティープラス
インドネシア
インド
スリランカ
ケニア
午後の紅茶
ミルクティープラス
スリランカ
(ウヴァ10%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
カフェインゼロ
ピーチティー
ケニア
午後の紅茶
ストレートティー
ホット&コールド
スリランカ
(ディンブラ20%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
レモンティー
ホット&コールド
スリランカ
(ヌワラエリヤ15%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
ミルクティー
ホット&コールド
スリランカ
(キャンディ20%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
キャラメルティーラテ
ホット&コールド
スリランカ
(ウヴァ20%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
リフレッシュオレンジティー
(自動販売機専用)
スリランカ
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
芳醇ロイヤルミルクティー
(自動販売機専用)
スリランカ
(ディンブラ10%)
インドネシア
インド
ケニア
午後の紅茶
TEA SELECTION
アールグレイアイスティー
スリランカ
(キャンディ65%)
(ディンブラ25%)
ウヴァ10%)
午後の紅茶
TEA SELECTION
ロイヤルブレンドティーラテ
スリランカ
ウヴァ50%)
インド
(アッサム48%)
インドネシア
午後の紅茶
for HAPPINESS
熊本県産いちごティー
(数量限定)
インドネシア
インド
ケニア
スリランカ
日本
(熊本県産紅茶葉6%)
出典:キリン『原材料名・栄養成分等一覧(ソフトドリンク)』

スリランカ茶葉は「午後の紅茶」のおいしさや個性に直結する重要な存在

「午後の紅茶」のベースとなっているのはスリランカ・インド・インドネシア・ケニアの茶葉のブレンドですが、以下のように産地にまでこだわってスリランカ茶葉を厳選している商品が多く見られます。

  • 午後の紅茶 ストレートティー:ディンブラ(20%)
  • 午後の紅茶 レモンティー:ヌワラエリヤ(15%)
  • 午後の紅茶 ミルクティー:キャンディ(20%)
  • 午後の紅茶 ミルクティープラス:ウヴァ(10%) など

ちなみに、2024年7月9日から発売される新商品「午後の紅茶 TEA SELECTION SUMMER BLEND ICE TEA」も、スリランカ茶葉を70%使用した紅茶です(ディンブラ36%キャンディ34%・ダージリン30%)。

出典:キリン ニュースリリース『キリン 午後の紅茶 TEA SELECTION SUMMER BLEND ICE TEAが期間限定で新発売!』

「紅茶花伝(コカ・コーラ)」に使われている紅茶・茶葉の種類

出典:コカ・コーラ『紅茶花伝』

次は、コカ・コーラの「紅茶花伝」で使用している紅茶(茶葉)を見ていきましょう。

商品画像商品名紅茶の原産国
(茶葉)
紅茶花伝
ロイヤルミルクティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
クラフティー
アイスアップルティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
クラフティー
贅沢しぼりピーチティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
クラフティー
白ぶどうフルーツティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
クラフティー
贅沢しぼりオレンジティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
クラフティー
贅沢しぼりレモンティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
デザート
とろけるピーチティー
手摘みセイロン茶葉100%
紅茶花伝
ガーデンレモンティー
非公開
紅茶花伝
ガーデンシークヮーサーティー
非公開
出典:コカ・コーラ『製品情報』

「紅茶花伝」は原則的に“スリランカ茶葉100%”

「紅茶花伝」の商品には紅茶原産国・原産地に関する記載がなく、沖縄限定販売の「紅茶花伝 ガーデンレモンティー」「紅茶花伝 ガーデンシークヮーサーティー」は使用している紅茶(茶葉)の種類を確認できませんでした。

しかし、全国で販売されている紅茶花伝シリーズに関してはブランドサイトに「手摘みセイロン茶葉100%」と明記されており、スリランカ茶葉へのこだわりが伺えます。

出典:コカ・コーラ『新戦略でブランドを強化する「紅茶花伝」多彩な味わいを楽しめる、本格的で上質な紅茶ブランドへ「紅茶花伝 無糖ストレートティー」3月8日(月)から新発売』

ちなみに、2021年に発売された「紅茶花伝 無糖ストレートティー」はスリランカ茶葉ではなく、インドのダージリンとアッサムをブレンドした紅茶でした。

「クラフトボス(サントリー)」に使われている紅茶・茶葉の種類

出典:サントリー『クラフトボス TEA』

次は、サントリーの「クラフトボス」で使用している紅茶(茶葉)の調査結果です。

商品画像商品名紅茶の原産国
(茶葉)
クラフトボスティー
ノンシュガー
香る無糖紅茶
スリランカ
ケニア
クラフトボス
ミルクティー
非公開
クラフトボス
レモンティー
非公開
クラフトボス
フルーツティー夏
非公開
クラフトボス
フルーツティー
4種の果実のフルーツTEA
非公開
クラフトボス
1日分のビタミンティー
非公開
クラフトボス
シトラス香るアイスティー
無糖
スリランカ
インド
クラフトボス
トロピカルティー
非公開
出典:サントリー『栄養成分一覧(100mlあたり)』

「クラフトボス」は一部の商品にスリランカ茶葉を使用

「クラフトボス」は、基本的に紅茶原産国・原産地を公開していません。

ただし、原産国表記のある「クラフトボスティー ノンシュガー 香る無糖紅茶」と「クラフトボス シトラス香るアイスティー 無糖」は、いずれもスリランカ茶葉を中心としたブレンドです。

出典:日本経済新聞『サントリー、「クラフトボス」のストレートティー』

また、現在は販売終了となっている「クラフトボス ストレートティー」は、スリランカ茶葉(ヌワラエリヤ30%)が中心のブレンドでした。

ちなみに「クラフトボス」に使用される紅茶は、主に以下のような方法で抽出されています。

  • 高濃度アロマ抽出製法
    • 紅茶の茶葉を水蒸気に接触させる➡蒸気を集めることで、淹れたての紅茶の香りだけを高濃度に取り出す
    • ビタミンティー/シトラス香るアイスティー/フルーツティー/レモンティー
  • コールドブリュー製法
    • 低温高時間抽出➡渋みが少なく飲みやすい➡そのうえで香り高い味わい
    • シトラス香るアイスティー

参考:サントリー『クラフトボス TEA』

そのため、特定の茶葉にこだわって紅茶の個性を強調するのではなく、「スッキリとした飲みやすさ」を重視した商品開発をおこなっている印象を受けました。

「リプトン(森永乳業/サントリー)」に使われている紅茶・茶葉の種類

参考:森永乳業『商品紹介 飲料』サントリー『栄養成分一覧(100mlあたり)』

リプトンの紅茶を使った商品を取り扱う森永乳業サントリーは、商品ごとの紅茶原産国・原産地を公開していません。

ただし、ベースの紅茶の製造元であるリプトンが、使用している紅茶に関する情報を開示していました。

「リプトン」はケニア自社茶園の茶葉がメイン

出典:リプトン『リプトン イエローラベル ティーバッグ』

リプトンの創業者であるトーマス・リプトンは、スリランカに大規模な茶園(=ウヴァ)を開拓した人物です。そのため、「リプトン=スリランカ」という印象をお持ちの方もいるかもしれません。

しかし、定番の「リプトン イエローラベル」に使われているのは、ケニア自社茶園の茶葉を中心にインドネシア茶葉などをブレンドしたものです。

出典:リプトン『おいしさへのこだわり』

【結論】スリランカ茶葉は大手飲料メーカーの紅茶飲料の半数以上で使用されている

今回の調査でわかったスリランカの紅茶(茶葉)の使用状況は以下のとおりです。

飲料メーカー「紅茶ブランド」スリランカ茶葉を使用している商品数
キリン「午後の紅茶」17/18商品
コカ・コーラ「紅茶花伝」7/9商品
サントリー「クラフトボス」2/8商品
森永乳業/サントリー「リプトン」0/14商品
合計26/49商品

調査対象49商品に対して26商品が、スリランカの紅茶(茶葉)を使用していることを原材料表記やリリースで確認できました。

ただし、今回の調査で原産国・原産地が確認できなかった商品にもスリランカの紅茶(茶葉)が使われている可能性は大いにあります。

なぜなら、大手メーカーから発売されている紅茶飲料は複数の茶葉をブレンドしているケースが非常に多いからです。

実際には、より多くの商品にスリランカの紅茶(茶葉)が使用されているものと思われます。

普段よく飲んでいる紅茶飲料に使われているスリランカ茶葉本来の味をお楽しみください

以上、今回は大手飲料メーカーの紅茶飲料におけるスリランカの紅茶(茶葉)の使用状況についてお伝えしました。

主に「午後の紅茶」で登場したディンブラ・ウヴァ・キャンディ・ヌワラエリヤを含むスリランカの紅茶については下記コラムにまとめていますので、興味のある方は読んでみてください。

また、以下のアソートティーバッグは、先ほどの4つに中東で大人気のルフナを加えた5種類のスリランカ紅茶を飲み比べられるパッケージとなっています。

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George Steuart Tea「5種アソートティーバッグ エクスクルーシヴ」

日常的に飲んでいるお気に入りの紅茶飲料がある方は、その商品に使われているスリランカ茶葉本来のおいしさも味わってみてはいかがでしょうか?

もちろんストレートティーだけでなく、ミルクティーやレモンティーにして楽しむのもおすすめです。

普段あまりティーバッグの紅茶を飲まない方は、以下のコラムもご参照ください。

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